畑の八幡さん
旧河内国大鳥郡畑村(現堺市南区畑)の鎮守八幡神社は、明治四十一年(1908)三月五日櫻井神社に合祀されたことが記録に残っている。その後の経緯は詳かでないが、こんもりと緑が繁った丘の上に、畑八幡神社は今も鎮座している。
八幡神社 【はちまんじんじゃ】 | |
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鎮座地 | 大阪府堺市南区畑勘田199 |
御祭神 | 誉田別命【ほんだわけのみこと】 天照大神【あまてらすおおみかみ】 |
創建 | 不詳 |
社格等 | 旧村社 |
別称/旧称 | 天祖神社 畑八幡宮 |
道路に面した急斜面を石段が延びていて、その先に石鳥居が見える。
石段を上る。
鳥居の扁額には「八幡神社」とある。こじんまりとした境内には小さな社殿と石燈籠。綺麗に手入れされており、地元の人に大切にされているのがわかる。
地図では「天祖神社」となっているが、地元ではこのように称んではいないらしい。
天祖神社といえば一般に天照大神を祀っているものだ。この神社にも祀られているのだろうか。境内に掲げられた拝詞に「畑伊勢講」の署名があるので、やはり祀られているとみえる。
畑は上神谷十三ヶ村のうち、上条九ヶ村の一つ。
上神谷地区は昔から米作りが盛んだったが、山あいの畑地区では水田を作ることができず、畑ばかりだったから「畑」と称ばれるようになったという。
上神谷上条の総鎮守は片蔵の別宮八幡宮(現在の櫻井神社)で、九ヶ村のうち鉢峯寺村を除く八ヶ村で古くから宮座を形成していた。畑の八幡神社は櫻井神社からの勧請と推定される。
神社の南には阿弥陀寺という寺院があったらしい。八幡神社の神宮寺だったと思われるが、明治時代に廃寺となり、今は跡形もない。
妙見道
畑の西隣の富蔵に「上神谷妙見」と通称される妙見山感應寺がある。鞠つき唄に「一に生駒の聖天さん、二に上神谷の妙見さん、三に讃岐の金比羅さん」と唄われたほど、江戸時代には隆盛を誇ったという。八幡神社の前の道は河内長野や狭山方面から妙見へ参る参詣道で、往時は多くの人で賑わった。この道は八幡神社のすぐ西で上神谷街道と合流している。北へ行けば妙見、南へ進めば下里の青賀原神社を経て女人高野として名高い天野山金剛寺に至る。参考文献:
◇井上正雄『大阪府全志 巻之五』 大阪府全志発行所 1922
◇角川日本地名大辞典編纂委員会(編)『角川日本地名大辞典27 大阪府』 角川書店 1983
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