◆白山神社と摂社春日神社
白山神社と春日神社

白山神社
【はくさんじんじゃ】


鎮座地: 京都府木津川市加茂町岩船上ノ門94

包括: 神社本庁

御祭神:
伊弉册尊【いざなみのみこと】

創建: 天平元年(AD729)または天平勝宝元年(AD749)

創祀: 行基菩薩 柿本人麻呂

社格等: 旧村社


◆白山神社(左)と摂社春日神社(右)
白山神社と春日神社

 隣接する岩船寺の鎮守社として天平時代に創建と伝わる。岩船寺はそのルーツとなった寺院が天平に鳴川の地で創建、鎌倉時代に現在地に遷ったとされるので、白山神社もともに遷って来たということだろう。
 柿本人麻呂が社殿を造営し、行基が祭神を勧請したという。行基は岩船寺の前身寺院の開山とされているからわかるが、人麻呂が唐突に登場するのは何故だろう。
 この当尾【とうの】の地は中世、奈良興福寺の別所であり、岩船寺も江戸時代まで興福寺の末寺だった。興福寺は藤原氏の氏寺であり、同氏の氏神である春日大社は興福寺と一体だった。白山社と並んで摂社春日社が祀られているのもそれによるものだろう(当尾周辺には他にも春日神社が多く見られる)。
 柿本氏は春日氏の傍流といわれる。春日氏は春日大社が建てられる以前から春日野の地を本拠としていた豪族で、春日大社摂社の榎本神社はその春日氏の神であり、春日大社鎮座以前にその地に祀られていた地主神だという。そのようなことから当尾の地で人麻呂にまつわる伝説が語られるようになったのだろうか。岩船寺の北西およそ三キロメートルの木津川市加茂町高田には「柿ノ本」の小字名が残っている。

◆白山神社(手前)と摂社春日神社(奥)
白山神社と春日神社

 岩船寺門前、石段を右に上った広場に鎮座。岩船寺歓喜天堂からも道で繋がっているが、柵が設けられ一応出入りできないようになっている。
 向かって左に白山神社、右に春日神社。一間社春日造檜皮葺の二社が双子のように並び建つ。
 承久三年(1221)兵火により焼失。現在の白山神社社殿の様式が嘉吉二年(1442)に建立された岩船寺三重塔と似ていることから、同時代に再建されたと考えられる。国の重要文化財となっている。
 春日神社社殿は享保十二年(1727)の再建で京都府登録文化財。


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