宇賀神像が特別公開されている喜光寺に参拝。
 例年七月の三日間のみの公開だが、今年に限り二ヶ月にわたって開帳されている。

◆喜光寺 南大門
喜光寺 南大門

清涼山喜光寺
【せいりょうざんきこうじ】


所在地: 奈良県奈良市菅原町喜光寺藪508

宗派: 法相宗

御本尊:
阿弥陀如来

創建: 養老五年(AD721)

開基: 行基菩薩

寺格等: 法相宗別格本山

別称/旧称: 菅原寺


◆喜光寺 本堂
喜光寺 本堂

 行基創建と伝え、また行基入寂の地でもある喜光寺は、阪奈道路の奈良側終点近くに建つ。
 まだ真新しい南大門を抜け、まずは本堂にお参りする。
 本堂及び本尊阿弥陀座像は国の重要文化財。東大寺大仏殿建立の際にこの本堂をモデルとしたとの伝承から「大仏殿試みの堂」と呼ばれている。現在のものは室町時代の再建。本堂は通年解放されており、阿弥陀如来と両脇侍の観音菩薩・勢至菩薩はいつでも拝観できる。

◆喜光寺 弁天堂
喜光寺 弁天堂

 弁天堂は本堂の裏に池に囲まれて建っている。弁天堂の扉は普段も開いているが、秘仏である宇賀神を祀る厨子が開扉されているのは今だけ。

◆喜光寺 弁天堂内部
喜光寺 弁天堂

 黒い厨子の中、紫の幕の向こうに異形の白い石像。これが弁天堂の本尊、宇賀神王。
 体はとぐろを巻いた蛇、首から上は髭をたくわえた翁という異様な姿をした宇賀神は、来歴のよくわからない神だ。
 宇迦之御魂神【うかのみたま】即ち稲荷神と同体であるとか、梵語のウガヤ(財施の意)から来ているとか、南方の古い言葉で蛇を表すウガルが由来で古くからの蛇神だとか。いろいろな説があるが、確定的なものはない。
 弁才天と習合し、財運にご利益のある宇賀弁財天として広く信仰された。やはり人頭蛇身の姿はインパクトが強すぎると見え、頭に小さな宇賀神をのせた弁財天の姿が最も一般的に広まったが、蛇の体に弁財天の頭という姿も見受けられる。
 縁起によると、喜光寺の宇賀神は蒙古襲来の頃に西大寺の叡尊が江の島から勧請したものという。江の島の弁財天は日本三大弁財天のひとつに数えられている。

 蓮で有名な喜光寺だが、訪れたのが午後だったからか、はたまた炎天下のためか、開いている花はあまりなかったのが少し残念だった。

◆喜光寺の蓮
喜光寺 蓮

 宇賀神像特別開帳は平成二十六年(2014)六月二十五日から八月二十五日まで。
 また、毎年この時期に「ロータスロード」と銘打ち、喜光寺・唐招提寺・薬師寺の三ヶ寺の蓮を巡る企画が行われている。御朱印を受ける際に申し出ると散華がいただけるようだ。こちらも八月二十五日まで。
 蓮の花は午後には大方閉じてしまうので、早めの時間に是非参拝を。


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